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劔岳 〈点の記〉 新田次郎 [読書感想メモ]

明治後期、軍の三角点を設置し地図の空白地帯を完成させよとの命令を受け、陸地測量部、柴崎芳太郎と地元の案内人、宇治長次郎が前人未踏の山、劔岳に登るお話。

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古くから立山信仰では「登れない山、登ってはならない山」とされれる針の山、劔岳。
地図作成のための測量という仕事、発足した山岳会との初登頂争い、芦峅、岩峅に伝わる立山信仰と案内人、修験道の行者の様子など…
当時の劔岳を取り巻く出来事が興味深く綴られています。

そしてこの作品は今年の夏にスクリーンに登場します。山岳地帯での撮影は大変だったらしく、ストーリーもさることながら、立山、劔の佇(たたず)まいを描いた映画の風景をできれば見てみたいと思います。

劔岳には現在、長次郎谷という名前の谷があります。頂上近くまで突き上げる急峻な雪渓の谷です。
案内人長次郎たちが劔岳初登頂に賭けて登った谷です。
私も一度だけ劔岳に登ったことがあります。5月のまだまだ雪が残る時期に、この谷を登って連れていってもらいました。
しっかりとしたリーダーと便利な登山道具のおかげで経験の浅い私でも登ることができました。

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2001年5月 長次郎谷上部

先人の苦労と自分の思い出にひたりながらの楽しい一冊でした。


剣岳―点の記 (1981年) (文春文庫)


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コメント 2

punchigoo

新田次郎さんは、栄光の岸壁や銀嶺の人などずいぶん読みました。惹き込まれるものがありますね。
by punchigoo (2009-01-10 10:38) 

umasashi

新田次郎さんは山の作品が多いですね。
加藤文太郎を描いた孤高の人も好きです。
by umasashi (2009-01-11 23:50) 

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